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Jokowi大統領 茨への道

JokowiとPrabowoの長い大統領選挙は7月22日で終焉を迎えた。
7月9日に実施された選挙のクイックカウントを見ると11カウント中7カウントはジョコウィ、
4カウントはプラボウォ側が多数派であった。
Prabowo側に軍配が上がった4カウントは
Puskaptis,Indonesia Research Center(IRC),Lembaga Survei Nasional(LSN)and Jaringan Suara Indonesia(JSI)と、それほど有名ではない調査機関が出している。
彼らはクイックカウント後の記者会見には参加することなく、コメントを避けており、何者かが何らかの影響を与えているとしか思えない匂いがする。実際上記の4社はPrabowoを支持するHANURA党のHary氏の所有するMNCグループの傘下にある調査会社であった。(最終的にHANURA党はPDI-P党を支持することになり、Hary氏は離脱する)
Jokowiの勝利が決まり、大統領選は幕を閉じた、かとおもっていたが、
Prabowo氏はKPU(インドネシア総選挙委員会)の発表結果に対し、不正であるとして再選を求めた。
憲法裁判所に提訴も考えているそう。。
大統領選挙が始まってまもなくは、支持率に関してPrabowoはJokowiに大差をつけられていた。ところが、大統領選挙が近づくにつれてPrabowoとJokowiの支持率の差は縮まっていた。それは、Prabowoが何か新しい政策を打ち出して国民から支持を得たとか、彼のイメージがよくなるような出来事が起こったとか、そういったものではなかった。
5回にわたるJokowiとPrabowoとのテレビ公開討論では、プラボウォの雄弁さや彼の得意とするトピックで聴衆のムードを一気にPrabowo側に持っていくことに成功。一方でJokowiは第5回の食糧、環境、エネルギーに関する議論の時に初めて、自分の言葉でPrabowoを打ち負かすことが出来たが、それ以外の回ではPrabowoの雄弁さ、知識面で対抗することが出来なかった。Prabowoのその雄弁さとはいかにも大統領という風格を示しており、Jokowiの「普通の人(そもそも国民に近い存在でいることを意識している人物にとって”普通の人”以外を求めること自体無理があるが)」と比較すると、Prabowoが大統領にふさわしいのではないか、と感じてしまうインドネシア人はいただろう。
元々軍人出身であり、軍事戦略司令部にも任命された彼には、人を率いる力があったのだろう。ただ、東ティモールの独立運動での市民虐殺など軍の秘密工作を指揮していたという非情なイメージももちつつも、一方で人を率いていくことのできる人だというイメージも国民に与えていた。ともかく、彼はこのテレビ番組で軍配が上がったといえる。
これだけがPrabowoの支持率を押し上げてはいない。むしろJokowiの支持率が下がった。
それはJokowiに対するインターネット上での誹謗中傷の数々である。
ネガティブキャンペーン、ブラックキャンペーン、兎に角何でも。
Jokowiが死んだといわれる死亡通知状が、奥様の名義で、中国名まで記載がある。ジョコウィはどうやら中国人らしい。Ir.H Joko Widodoの”H”はクリスチャンの名前であるHerbertusから来ているからクリスチャンだとか?(実際にはJokowiがメッカに巡礼した時に与えられた”Haji”から来ている)とかJokowiはユダヤ教徒とかなんとか、、、、
そもそもインドネシアではSARA(Suku,Agama,Ras:民族、宗教、種族)に関わる中傷をネット上やテレビなどで報道されることは禁じられている。
 根も葉もないような内容で人々が扇動され、Jokowiが何をしてきて、どんな人であるのか、どういうインドネシアを今後作っていくのかというビジョンなど、ほとんど意識されていない。Jokowiの支持率が根拠のない事実で支持率が下がっていて、ただ人々は、政治なんて実はどうでもよくて、人と話せるトピックが有りさえすれば、実際はどうでもいいのではないか、選挙に対するリテラシーなど、あるのかとさえ思ってしまう。
Jokowiに対する一連の誹謗中傷、クイックカウントのねつ造、KPUへのウェブサイトのサイバー攻撃、あらゆる攻撃に対してJokowiはどれだけunfairな状況に追いやられたであろう。目的のために手段を選ばないPrabowoは結局大統領にはなれなかった。直接的関与に関しては明らかではないが、これほどの攻撃で彼がかかわっていないとはいいづらい。
 Jokowiはそんな状況から、見事に大統領になった。実際の公務開始は10月からである。
彼は中ジャワソロ市で実業家であり、またソロ市長として多くの功績を残している。Prbowoは彼の功績を称え、彼をジャカルタ知事選で推薦していたのである。当時Jokowiには明確な政治基盤を持たなかったが、彼の功績が人々の心をつかんでおり、ついには大統領選挙にまで立候補することになった。
しかしながら、彼は候補として当選するまで、まるで彼らしくない行動をしていた。彼の政策方針について何も語らず、未来のインドネシアについて何も答えることなく、立ち位置を示さないでいた。
PDI-Pと本人のスタンスを統一するために、明確に政策方針を掲げることは、無責任だと感じたのだろうか。
ソロ市長時代も、ジャカルタ州知事時代も彼は政治的方向性は明らかであった。大衆迎合主義でもなく、問題解決型のアプローチを常に目指していた。効率、効果、法に基づいた解決法を常に模索していた。
ジャカルタの洪水問題を解決するためのスラムの排除、交通渋滞解決のための駐車料金の値上げ、石油燃料の補助金の削減等々、、彼はただ彼らの利益のために動いているわけではなかった。
しかし彼も5月13日、”Mis visi(Misson and Vision)”を示した。
モラル面での人材の育成、それによる農業、インフラ、エネルギー部門での技術向上 を掲げた。
官僚制度などについては、外国の投資を加速させるべく、明確かつ迅速なプロセスを行えるように、また賄賂の温床になる不透明な部分を防止するためにオンライン化、IT化を促進する(税金オンラインシステムや建築許可申請など)。
またJokowiは今後上記のような問題だけではなく、国際的な動きに関しても敏感にならなければならなくなる。近年南シナ海で繰り広げられる中国と東南アジア諸国の領海争いに、インドネシアも巻き込まれる可能性もある。特にインドネシアのナツナ島には、多くのガス資源が眠っており、そこに中国が目を付けて、領海の主張をする可能性も大いにあり、東南アジアとの軍事的連携をどう行っていくかについても、議論を行わなければならない。
中東の対立についてもインドネシアの保安に大きな影響を与える可能性がある。現在イスラエルとパレスチナで繰り広げる対立にイラク・シリア・イスラム国(ISIS)がかかわっており、このメンバーにインドネシア人も含まれている。彼らがインドネシアにISISの思想を持ち帰る可能性は十分にある。2002年のバリの爆弾テロ事件に関与したジェマ・イスラミアと手を組む可能性も十分にある。また中東に住むインドネシア人の大統領選挙の結果は、他国の選挙で9割がJokowiを選んだのに対し、5割程度にまで極端に下がっていた。イスラムに傾倒した政治などは決して行わないJokowi(Bhinneka tunggal ikaを尊重するMegawatiの影響か)を支持しない傾向がみられる。
上記のような様々な国内・国際問題を抱えるインドネシアを引っ張っていかなければならないJokowiにとって、強力なサポーターももちろん存在する。それはジャカルタ州副知事であるBasuki Tjahaja Purnama(通称Ahok)だ。かれはGerindra党のメンバーであり、中華系で、クリスチャンであるという批判もありながら、彼もPrabowoやMegawatiの支持を受けてジャカルタ州知事選にジョコウィとペアで出馬した(結局はGerindra党首であるPrabowoは自分で自分の首を絞めることになる)。
さらに、彼以上にやはりサポート役になり、今後のインドネシアの行く末を決めていくことになるであろう人間はやはりMegawati Sukarno Putriであろう。彼女は自分の大統領への道を捨ててまでJokowiを大統領候補に選んだ。この選択は国民から大いに賞賛を受けた。Jokowiの突然の大統領選挙への出馬から、PDI-PによるJokowiのロボット化も不安視していたが、インドネシアの精神であるBhinneka tunggal ika(異なっているけれどもみんな一つ、多様性の統一)を尊重するMegawatiを支持し(Megawatiは副知事としてもAhokを支持していた)、JokowiとしてもMegawatiに完全に操られる、ということは起こらないという自信があるのだろう。
ただPDI-Pは政党のなかでクリーンとは言えない政党としてもうすでにイメージが出来上がってしまっており、Jokowiの今後の動きが注目される(実際に総選挙の時にはJokowiの存在があるにも関わらず全体の19%しか議席を獲得することができなかったのはそういった背景も十分に考えられる。GerindraとNasdemがインドネシアでクリーンなイメージがある政党、らしい。)。
Jokowiを待ち受けるいばらの道は険しく覆い茂っている。まずは今目の前にあるPrabowoの存在である。今の状況では目いっぱいに政治を行わせてもらうことはできないだろう。正常な形で、Prabowoには野党に回ってもらいたいところ。その上でPDI-P、ひいてはMegawatiの思惑通りにJokowiが動かず、ソロ市長時代、ジャカルタ州知事時代の彼らしさを存分に発揮しながら、国内問題(インフラ、人材、エネルギー、農業、教育etc)そして国際問題(南シナ海、中東)について議論し解決していかなければならない。

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